日本の伝統技術「こぎん刺し」とは|現代のブランドへの影響

こんにちは。ブランド古着のKLDです。

「こぎん刺し」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

布地に糸を通し、美しく繊細な幾何学模様を描く刺繍のことで、江戸時代に生み出された日本独自の技法です。

日本の伝統技術のひとつとして時代とともに進化し続け、現代のブランドのアイテムにも使われており、名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

今回は、

  • こぎん刺しとは?
  • こぎん刺しの歴史
  • 「モドコ」(こぎん刺しの基礎模様)について
  • 「刺し子」と「こぎん刺し」の違い
  • 「こぎん刺し」を支える企業
  • こぎん刺しと関係の深いブランドたち

このような形で、こぎん刺しをご紹介します。

日本の伝統工芸は、形を変えながらさまざまな人に愛されています。

その技法がどこからやってきたのか、また現代でどう愛されているのか、未来にどう繋がっていくのか…等に思いを馳せると、一つ一つのアイテムにも愛着が湧いてくるかと思います。

今回は、そんな形で「こぎん刺し」に迫っていきたいと思います。

こぎん刺しって何?


引用 monova-web.jp

こぎん刺しは、青森県・津軽地方に伝わる刺し子(布地に糸で図柄を刺繍して縫い込むこと)の一種です。

縦の織り目に対して一・三・五・七…と、奇数目を数えて刺す技法が特徴。

元々は、農作業で着る麻の服の保温性、補強のために、木綿の糸で刺し子刺繍をしたのが始まりでした。

“モドコ”と呼ばれるこぎん刺しの基礎模様は、約40種類以上。

近年は、いろんな色の布地や糸が使われるようになり、コップの下に敷くコースターやくるみボタンといった小物から、こぎん刺しのポケットがついたバッグ、服まで自由なアレンジがされています。

図案の載った本なども多数販売されているのでハンドメイドとしても人気があり、ポーチなどの小物を手作りしてネットで販売する方も多くいらっしゃいます。

こぎん刺しの歴史

こぎん刺しが生まれたのは、300年以上前の江戸時代でした。

当時は綿の着物が主流。
ところが、寒さの厳しい津軽地方では木綿の栽培ができず、他の場所から購入せざるを得ない状況でした。

そのため、藩は麻の栽培を奨励。
さらに農民は、木綿や色染めした着物を着ることを禁じられてしまいました。

麻の布地は通気性がいいゆえに、寒さをしのぐことができません。
少しでも温かさを感じられるようにと、農民たちは刺し子を始めました。

刺繍で生地の密度、厚みを上げる事によって風の通りを防ぎ、保温性を上げていたそう。
また、作業などで擦り切れてしまう部分を補強していくという意味合いもありました。


引用 tsugaru-kogin.jp

その後、娘たちは5~6歳になったらこぎん刺しを習い、作り上げたものを嫁入り道具として持っていくという風習となっていったそうです。
このように、こぎん刺しは「生活の知恵」として受け継がれてきたのでした。

「モドコ」(こぎん刺しの基礎模様)について

こぎん刺しでは、「モドコ」という基礎模様を組み合わせて、大きく美しい幾何学模様を描きます。

代表的なモドコは約40種類以上。

「マメコ」「ハナコ」といったかわいい名前のついたひし形、連続模様がずっと続いていくため、止まらないという意味から名付けられた「トマラズ」。
また、津軽弁でちょうちょの「テコナ」、魚のウロコを想像させる「ウロコ」、卍がつながっていく模様の「紗綾型」(さやがた)などがあります。

1. カチャラズ 2. マメコ 3. ハナコ 4. イシダタミ 5. ムスビバナ
6. 四枚菱 7. シマダ刺 8. フクベ 9. コマクラ刺 10. ウロコ形(小)
11. フクベ 12. 猫の足 13. 猫のマナグ 14. テコナ 15. ヤスコ刺
16. マメコの四つコゴリ 17. ウロコ形(大) 18. クルビカラ 19. ベコ刺 20. ウマのクツワ
21. サヤ形 22. マメコの連続 23. 竹の節 24. 〃

弘前こぎん研究所より 引用 tsugaru-kogin.jp

手に入れられるのが麻の布地と白い糸だけだったことや、色染めが禁止されていたことから、このように美しく様々な模様が発展していったと言われています。

「刺し子」と「こぎん刺し」の違い

ここまでこぎん刺しについてお話してきましたが、「刺し子っていうのとはどう違うのかな?」と感じた方もいるのではないでしょうか?

刺し子もまた東北地方で発展し、現在まで伝わっている刺繍の技法で、そのルーツも合わせてこぎん刺しととても似た所のある刺繍の技法の一つです。

また、厳密にいうとこぎん刺しも「刺し子」というカテゴリーの中の一つの技法なのですが、現在では「刺し子」と「こぎん刺し」といった時には、それぞれ別のものを指しているといえます。

両者の最大の違いはやはり「模様」ではないでしょうか。

糸を斜めに刺し、ひし型の格子を基本に、糸で色を塗るように図面を埋めて模様を指していくこぎん刺しと、一目刺しの「線」で模様を描いていく刺し子。
画像で見ていただければ違いが分かりやすいかとと思います。

左:こぎん刺しの名刺入れ 引用 tsugaru-kogin.jp
右:刺し子の模様の一例 引用 wikipedia.org

また、糸も違ったものを使用しており、こぎん刺し用の刺繍糸は、刺し子用のものよりも太くなっています。


上:こぎん刺し用 下:刺し子用 引用 sashiko-chilbol.site

これは、糸をまとめる際の「撚り」の強さによるもので、刺し子用の糸はこぎん刺し用よりも強く撚って(ねじって糸をまとめて)、細い1本にしています。

太く、くっきりと模様を埋めていくように指していくこぎん刺しにはふんわりと撚った太めの糸の方が合っているようです。

「弘前こぎん研究所」について


「弘前こぎん研究所」HPより 引用 tsugaru-kogin.jp

ここまでこぎん刺しの魅力、概要をお話してきましたが、この魅力的な技術を現代でも広めるべく活動しているのが、「弘前こぎん研究所」という企業です。

青森県弘前市で活動されており、こぎん刺しを使ったアイテムの製造、販売などをおこない、情報発信なども通して、「こぎん刺し」という文化を広めています。

1942年に設立した歴史のある企業で、1962年に「弘前こぎん研究所」という現在の名前に改名、より一層こぎん刺しの魅力を伝える形となり、現在に至るそうです。

こぎん刺しを正しく伝える事、それをしっかりと産業として成り立たせていく事をテーマに活動をしており、今回の記事にも弘前こぎん研究所の発信している情報からの引用などを多くさせていただいています。

ウェブショップなども展開しており、一つ一つ手作業で作られた魅力的なアイテムが並んでいます。

「弘前こぎん研究所」ウェブショップへ

このように「こぎん刺し」という文化は数々の人の努力によって、正しい形で、現代でも愛されることが出来ているといえます。

こぎん刺しと関係の深いブランド

ここからは、こぎん刺しを現代でもデザインに活かしているブランドをいくつかご紹介していこうと思います。

どれも日本の伝統的な技術の保存に精力的に取り組んでいるブランドで、こぎん刺しへの愛着とリスペクトが感じられるものばかりになっています。

Mame Kurogouchi(マメクロゴウチ)

ユニクロとのコラボレーションによって幅広い層の注目を集めているMame Kurogouchi。

そんなMame Kurogouchiのメインコレクションでは、繊細な刺繍やカッティングなどを余す所なく味わえる、緻密なコレクションを展開しています。

Mame Kurogouchiの2015AWコレクションでは、宮本輝の小説を着想源に、東北の美しい風景をデザインに落とし込んだコレクションを展開しました。

このコレクションでは、こぎん刺しの模様を織り込んだジャガード生地のアイテムを展開。


引用 fashion-press.net

厳密にいうとこぎん刺しの技術(刺繍)を使ったアイテムではありませんが、古くから伝わるこぎん刺しにリスペクトを送り、現代風にアレンジした手腕はMame Kurogouchiだからこそといえます。

matohu(まとふ)

「まとふ」では、2019SSコレクションでこぎん刺しを使った服を多数発表しました。

胸元のこぎん刺しがアクセントになったジャケットや、こぎん刺しの模様をモチーフにしたニットやワンピースなどが制作されています。


胸元にこぎん刺しをあしらったジャケット 引用 fashion-press.net

また、「長着」という透け感のある繊細なシルク素材にこぎん刺しでアクセントを添えたアイテムも発表。


こぎん刺しを施したシルクの「長着」 引用 fashion-press.net

元々ざっくりした麻の生地に施すことが前提であったこぎん刺しは、シルクのような繊細な生地に施すのはとても難しいそう。
しかし、試行錯誤のうえ、同じくシルクの糸で刺繍を施すことで、美しいこぎん刺しの長着が完成したそうです。

ここまで読んでくださった方へ

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

東北を中心に発展してきた日本の伝統技術、こぎん刺し。

実用的な理由で生まれ、今は主に魅力的な装飾として親しまれていることがわかりました。

KLDでも今回ご紹介したブランドのお買取を強化しています。

こぎん刺しを取り入れたアイテムはもちろん、そうではない通常のコレクションに関しても強気のお見積りが可能です。

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