グレン・マーティンスってどんなデザイナー?|Glenn Martens


引用wwdjapan.com

こんにちは。ブランド古着のKLDです。

Y/Projectでの革新的なクリエイションやDIESELでの再構築を経て、メゾンマルジェラのクリエイティブ・ディレクターに就任した、グレン・マーティンス。

新しい視点を落とし込むセンスと、ユニークで実験的なアプローチを得意とし、これまで確たる実績を積み上げてきた人物です。

今回は、

  • グレン・マーティンスとは
  • 経歴
  • グレン・マーティンスを形作るもの

という形でお話していきます。

グレン・マーティンスのこれまでのキャリアから、プライベートな人物像まで、さまざまな一面を紐解き紹介していきます。

動画バージョンはこちら

グレン・マーティンスとは?


引用vogue.com

Glenn Martens(グレン・マーティンス)は、1983年にベルギー・ブルージュで生まれたファッションデザイナーです。

「JEAN PAUL GAULTIER(ジャンポール・ゴルチエ)」でキャリアをスタートさせ、2013年より「Y/PROJECT」のクリエイティブ・ディレクターとして活躍。

2020年には「DIESEL」のクリエイティブ・ディレクターに就任。

大胆な改革によって、見事「新生DIESEL」を誕生させた才能の持ち主で、ファッション界の新たなスターといっても過言ではないでしょう。

新進気鋭のデザイナーであるマーティンスは、もともと古風な家庭で育った歴史好きな子供でした。
学生時代は成績も良く、控えめで真面目なタイプだったようです。

そんな彼が15~16歳の頃、初めて買ったブランドものが「DIESEL」だったというエピソードも有名です。

マーティンスのデザインに関しては、実験的なアプローチを加えた斬新さと、伝統的なアイテムに現代的なひねりを加えることを特徴としています。

アーティスティックで知的な思考を持ち、フレッシュで進歩的な試みが、高い評価と支持を得てきました。

そして2025年1月に「Maison Margiela(メゾンマルジェラ)」のジョン・ガリアーノの後任に選ばれたことで、世界中からさらに注目が集まっています。

経歴

ファッション界で躍進する若き才能、グレン・マーティンス。

ここからは、彼の経歴についてお話します。

創造性を築いた学生時代

もともと大学で建築やインテリアデザインを学んでいたグレン・マーティンス。

21歳で大学での勉強を終え、将来を考えていた彼は、修学旅行でベルギーの地方都市・アントワープへ赴きました。

その時に初めて有名なファッション学校が近くにあることを知ります。


アントワープ王立芸術アカデミー 引用wikipedia

それまでファッションに興味がなかったマーティンスですが、ファッションという新しい世界にあっという間に魅了され、アントワープ王立芸術アカデミーに進学することに。

ファッションデザイナーがどんな職業かも知らなかったうえ、ミシンすら触ったことのなかった全くの初心者でしたが、マーティンスは建築で養った理論と独自の感性を生かした作品を意欲的に製作します。

彼のコレクションは脱構築的で斬新と評判を呼び、2008年にアントワープ王立芸術アカデミーを主席で卒業しています。

初期のキャリア

マーティンスの卒業作品 引用trendland.com

グレン・マーティンスはアントワープ王立芸術アカデミーで服作りを学ぶ中、卒業間際に発表した作品がジャンポール・ゴルチエ氏に高く評価されます。

そして、アントワープ卒業後の2008年10月から約半年間、フランスのパリにてゴルチエのスタッフとしてデザインチームに参加。


YOHAN SERFATYおよびY/PROJECTのデザイナー、ヨハン・セルファティ 引用bazaarvietnam

2009年からは「Y/PROJECT」の前身ブランド「YOHAN SERFATY」でアシスタントとして手腕を振るい、2010年には「WEEKDAY」のコレクションも手掛けています。

2011年には自身の名を冠したブランド「Glenn Martens」を立ち上げました。

2013年から2016年には、「HUGO BOSS」でデザインコンサルタントも務めていたようです。

Y/PROJECTでの功績

2013年、Y/PROJECTの創業者兼デザイナーである、ヨハン・セルファティが癌で他界。

後任として、グレン・マーティンスがY/PROJECTの2代目クリエイティブ・ディレクターに任命されました。

なお、2011年に立ち上げた自身のブランド「Glenn Martens」は、Y/PROJECTのディレクター就任直前に終了しています。

マーティンスは、“ダークでモード”といったこれまでのY/PROJECTのイメージに新たなテイストを加え、たちまち注目ブランドへと押し上げました。


Y/PROJECT2018AW 引用momu.be

具体的には、デニムやスウェット、フランネルなどのカジュアルな素材を試したり、大胆なシルエットや多彩なテクスチャーを活用したりなど、オリジナリティあふれるデザインを展開しました。

Y/PROJECT2021AW 引用momu.be

性別を超えたデザインや個性的なスタイリング、多機能的なディテールを披露し、年を追うごとにマーティンスのデザイナーとしての評価は上昇。


2017年度ANDAMファッション・アワードにて 引用wwdjapan.com

2017年には、世界的な若手デザイナー賞の「ANDAM賞」のグランプリを受賞したことで、一躍脚光を浴びることに。

ブランドに大きく貢献し、その名を広く認知させたマーティンスですが、2024年9月、11年務めたY/PROJECTがブランドを終了することに。
同時に彼もデザイナーを退任しています。

DIESELでの活躍

2020年10月、グレン・マーティンスは「DIESEL」のクリエイティブディレクターに就任。

この就任は、2018年に影響力のあるデザイナーとコラボーレションを行う、DIESELの「Red Tag Project(レッドタグ プロジェクト)」で協業したことがきっかけです。

なお、「Y/PROJECT」を退任するまで、彼は両ブランドを兼任していました。

DIESELにおけるマーティンスのデザインには、90年代のレトロな要素を取り入れつつ、テクノロジーや素材を駆使した現代的なスタイルが大きな特徴としてみられます。


DIESEL2022SS 引用silver-mag.jp


DIESEL2022SS 引用silver-mag.jp

懐かしさと新しさが共存するデザインは若者に受け、Y2Kのトレンドとともに人気が拡大。
デニム以外のアイテムも支持を得るようになりました。

マーティンスがDIESELに革新をもたらしたものといえば、今やDIESELのアイコンとなった「Dロゴ」と、そのDロゴを大胆に施したバッグシリーズ「1DR(ワンダー)」です。


Dロゴ 引用diesel.co.jp


1DRのショルダーバッグ 引用diesel.co.jp

シャープでクールなDロゴと、高級感と存在感を漂わせる1DRシリーズは、Y2Kムード漂うエッジの効いたデザインでZ世代を中心に人気を集めています。


DIESEL LIBRARYの広告 引用wwdjapan.com

2022SSには、サスティナブルプロジェクトとして、ジェンダーレスで長く着られる新ライン「DIESEL LIBRARY」を始動させます。

デザインと環境意識の融合により、未来を見据えたブランドとしてさらなる進化を遂げているのです。

MAISON MARGIELAへの抜擢

ストリートとハイファッションを巧みにミックスしたアプローチで、DIESELに新たな風を吹き込み、2020年代を代表するブランドの一つにまで押し上げたグレン・マーティンス。


引用wwdjapan.com

そんな彼の功績が認められたのか、2025年1月29日、グレン・マーティンスが「メゾンマルジェラ」のクリエイティブディレクターに就任することが正式に発表されました。

過去10年間にわたりマルジェラを指揮したジョン・ガリアーノ氏の後任となります。

DIESELとマルジェラは同じOTBグループの傘下にあり、引き続きDIESELも率いる予定です。

マーティンスは就任発表と共に、さっそくブランドのシンボルユニフォームである白衣を着てSNSに写真を投稿。


マルジェラの白衣を着たマーティンス 引用instagram@glennmartens

「何十年にもわたり世界にインスピレーションを与え続けている唯一無二のブランド、素晴らしいメゾンマルジェラに加わることができ、とても光栄です。」とコメントしています。

マルジェラを立ち上げたマルタン氏は、表舞台には顔を滅多に出さない人物としても知られており、デザインチームも匿名での活動を貫いていました。

そこから真逆の、華麗でドラマティックなガリアーノ時代を築いてきたマルジェラは、独特な立ち位置のブランドといえます。

そのため、今回の就任はマーティンスにとってプレッシャーも大きいのではと予想されます。

Y/PROJECTやDIESELなど、オリジナリティ強いブランドでその実力を証明してきたマーティンスが率いる、マルジェラの新章に注目です。

グレン・マーティンスを形作るもの

新たにマルジェラの指揮を執ることが決定したグレン・マーティンス。

ここからは、彼を形作るものについてお話します。

サステナビリティへの意識

グレン・マーティンスは、サステナビリティへの意識が高いことでも知られています。

特にサスティナブルな取り組みが顕著に見られ始めたのは、DIESELでのクリエイションではないでしょうか。

環境への負荷を最小限に抑えたライン「DIESEL LIBRARY」を始めたように、彼の服作りのベースには環境に優しいことが最前にあります。


リサイクルコットンで作られたDIESEL LIBRARYのデニムワンピース 引用diesel.co.jp


木材を原料としたテンセル繊維で作られたDIESEL LIBRARYのデニムシャツ 引用diesel.co.jp

例えば、素材はオーガニック繊維やリサイクル繊維など、認証の取れた環境に配慮したものを使用し、加工は水や化学薬品の使用量を大幅に削減した方法を採用しています。

さらに従業員や顧客、地域社会に影響を与える社会的持続性(ソーシャルサステナビリティ)の意識も強化。

DIESELのディレクターに就任した際、社会全体へ良い影響を与えるため、役員全員と話しながら、明確なマニフェストも作ったそう。

マーティンスはデザインだけでなく、サステナビリティと革新を同時に行い、環境や社会への貢献を果たしているのです。

インスピレーションを刺激する故郷・ベルギーの存在

故郷のベルギーや出身地のブルージュの存在も、グレン・マーティンスに欠かせない要素の一つです。


ブルージュの街並み 引用tabideza.co.jp

ブルージュには、大聖堂や鐘楼といった歴史的建造物が残る旧市街があったり、街中には運河が流れていたり、絵本に出てくるような景色が広がっています。


ブルージュにある聖サルバトール(救世主)大聖堂 引用tripadvisor.jp

マーティンスはおとぎ話から抜け出したような故郷の風景からインスピレーションを得て、デザインに落とし込むこともあるようです。

かつて中世の大都市だったブルージュは、半分は過去の街並み、半分は観光向けの現代的な街風景が共存しているのも特徴です。

正反対にあるようなものを同じランウェイに登場させたY/PROJECT2020SS 引用fashionsnap.com

そのような二面性も彼のインスピレーションとなり、真逆のアプローチや多様性に富んだコレクションを生み出せるのでしょう。

また、ベルギー自体は歴史的な建造物がたくさん残っている一方で、工業国でもあります。

クラシカルな街並みの中に工場があり、さらに雨も多くどこか憂鬱な一面がある場所で育ったからこそ、マーティンスは予想外なところに美しさを見出す術が身に付いたのかもしれません。

聡明さとバイタリティを兼ね備えた姿

グレン・マーティンスは2020年から約4年間、「Y/PROJECT」と「DIESEL」を兼任し、しかもその両方を好調なブランドへと成長させた聡明な人物です。

さらに、パリ(Y/PROJECT)とイタリア(DIESEL)の国を行き来しながら、デザインを手がけるという多忙な日々を送っていました。

2022年には、ジャンポール・ゴルチエのオートクチュールコレクションのゲストデザイナーにも選ばれたマーティンス。
彼は、Y/PROJECTYとDIESELを合わせた計3ブランドを掛け持ちしながら、見事にその全てを成し遂げています。


ジャンポール・ゴルチエ オートクチュールコレクション2022SS 引用vogue.com


ジャンポール・ゴルチエ オートクチュールコレクション2022SS 引用vogue.com

そして、今回もマルジェラとDIESELを兼任することから、非常にバイタリティ溢れる人物であることがうかがえます。

デザインセンスが抜群に高いことはもちろん、両ブランドの表現方法を深く理解し、それを形にする能力が高いのもマーティンスの持ち味です。

そして、それはデザイナーとしての彼を形作る重要な要素となっています。

ファッション界から抜け出したリアルな生活


パリの自宅で撮影されたマーティンス(2022年12月)引用gayletter.com

マーティンスは自身の休日の過ごし方に関して、友人たちと一緒に食事をしたり、キッチンで酔っ払ったりすることが中心と語っています。

アートやファッション関連のイベントにはほとんど行かないそうで、大抵はコンサートに行ったり、ビールを飲んだり、誕生日のお祝いをしたり、ハイキングに行ったりするそうです。


フランスのレユニオン島にて 引用instagram@glennmartens

特に自然が好きなようで、長い休暇があるとハイキングに出かけている様子。

これらの私生活は、マーティンスの忙しい日々の中の唯一の安定したものだそうです。


タイでの一枚 引用instagram@glennmartens

ファッション界と距離を置いたプライベートを過ごすことで、心身共にリフレッシュしたり、インスピレーションを得たりしているのかもしれません。

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ここまで読んでくださった方へ

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

ファッションの新時代を築く若きデザイナー、グレン・マーティンス。

マルタン・マルジェラの精神を受け継いできたメゾンマルジェラで、どのようなアプローチを披露するのか、彼のコレクションにファッション界の注目が集まっています。

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