こんにちは。ブランド古着のKLDです。
2025年6月5日、兵庫県姫路市出身の世界的デザイナー・髙田賢三さんの軌跡をたどる「髙田賢三展 パリに燃ゆ、永遠の革命児」に行ってきました。
今回は、髙田さんの地元にある「姫路市立美術館」で、デザイナーとしての原点からKENZOの誕生、パリでの活躍まで、その歩みを取材してきました。
目次
髙田賢三展とは
髙田賢三展は、2020年に81歳で逝去した世界的ファッションデザイナー・髙田賢三の没後初となる大規模回顧展です。
東京と姫路の2地域の巡回開催です。
東京は「髙田賢三 夢をかける」というタイトルで、2024年7月6日~9月16日の期間、「東京オペラシティ アートギャラリー」で開催されていました。
姫路では、「パリに燃ゆ、永遠の革命児」というタイトルで、2025年4月12日~7月21日の期間、「姫路市立美術館」で開催中です。
国内外のコレクションから厳選した衣装を通して、髙田さんが手がけた「KENZO」の軌跡をたどるとともに、デザイン画、幼少期のスケッチ、愛蔵品、写真資料などを紹介しています。
3つのセクション
姫路市立美術館での髙田賢三展は、「タイムライン紹介」「作品紹介」「髙田賢三邸のクローズアップ」といった3つのセクションで構成されています。
全体的に年代順に展示されており、足を進めると同時に髙田さんの人生を辿るような展開です。
タイムライン/髙田賢三の歩み
まずは、髙田賢三さんの人生を時系列で紹介する「タイムライン」のセクションからスタート。
兵庫県姫路市で誕生した1939年から生涯を閉じる2020年まで、髙田さんの81年の人生におけるターニングポイントや、創作活動などが紹介されています。
11歳の頃には絵の才能があったようです。
文化服装学院に進学したことは、髙田さんのデザイナー人生に大きく関わる出来事ですよね。
当時、上京のために、豆腐屋でアルバイトをして資金を貯めたというエピソードもあります。
(左)「荘苑賞」受賞作品 (右)独立前に制作したドレス
1960年、21歳の時には第8回荘苑賞を受賞されます。
品のあるレトロなデザインで、今の時代に見ても魅力的ですね。
受賞後は、雑誌『荘苑』などから仕事の依頼が来るようになったそうです。
1964年の25歳の時には、後にNICOLEを立ち上げる松田弘光さんと、その奥様とともに船に乗って渡仏。
パリでは半年ほどの滞在予定だったそうです。
しかし、帰国前に自分の実力を試そうと、ブティックや雑誌社にデザイン画を持ち込んだところ、有名ブティックや『ELLE』などのファッション誌、百貨店にも買い取ってもらえるようになり、パリに留まることになったのです。
そして1970年にブランドをスタートされます。
当時はまだ「KENZO」ではなく「JUNGLE JAP(ジャングル・ジャップ)」というブランド名でした。
きっとまだまだ日本の感性やファッションが浸透していない時代。そんな時代にパリで挑戦する髙田さん、純粋にカッコいいなと感じました。
そのほか、タイムラインにはパリでのアパートの写真や、その頃の日記の一部など、髙田さんのプライベートな部分まで惜しげもなく公開されていました。
宝塚歌劇団『Perfum de PARIS』の衣装より。(左)宝石の女 (右)踊る宝石の男
また、このセクションでは舞台衣装なども展示されています。
こちらは、1993年の新宝塚大劇場のこけら落とし公演『Perfum de PARIS(パルファン・ド・パリ)』で制作された衣装のうちの一つ、「宝石の女」と「踊る宝石の男」です。
髙田さんはこの時、約600点もの舞台衣装をデザインされたそうです。
宝塚歌劇の衣装なだけに、ド派手で煌びやかですね。
うっとりと見惚れるほどの緻密な作りと美しすぎる装飾。
こちらの3つの衣装も『Perfum de PARIS』に登場したもので、「踊るパリジャン」というキャラクターが着用した作品です。
髙田さんは8歳の頃に宝塚歌劇を見始め、それが服飾や舞台衣装などへの興味に繋がったとされています。
また、髙田さんが手掛けた、2004年アテネオリンピックの開会式用の日本公式ユニフォームも展示されていました。
芍薬の花をモチーフとしたデザインで、爽やかなスポーティーさの中に“髙田賢三”らしい色彩感とパワーが感じられます。
タイムラインの最後には、2024年にパリのギャルリー・ヴィヴィエンヌに設置された髙田さんを顕彰する記念プレートの写真が。
髙田さんのパリでのキャリアや功績が今も称えられているのかと思うと、改めて髙田さんの大きな存在感を実感します。
作品群/髙田賢三の象徴的なデザイン
タイムラインの部屋を抜けると、次はKENZOがこれまで生み出してきた作品がずらりと展示されているセクションへ。
足を進めるにつれ年代順に進んでいく、とても見やすいシンプルな構成です。
ブランドをスタートした70年代の初期の作品から始まります。
木綿のシャツドレス (左)1976SS (右)1972SS
髙田さんは70年代のデビュー当時から、「しぼり」「ちぢみ」「つむぎ」「浴衣地」など日本古来の生地を積極的に使用していました。
1971SSのショー以降には、「木綿の詩人」と称されるように。
(左)1973SS (中)1972SS (右)1970-1971AW
KENZOといえばニット!と言われるほど定評のあった髙田さんのニット作品たち。
右の1970-1971AWのものは、「ロンドン・ポップ」というシリーズの初期の作品です。
1972ー1973AW
こちらは、アイルランドの生地メーカーが作るツイードを使用した「ツイード・ルック」。
襟、袖口、ポケット口がニット地になっています。ニットを巧みに扱っているのが分かりますね。
1975SS
1975SS以降、KENZOのコレクションに度々登場していた「ペザント・ルック」も。
日本の農村をイメージしたペザント(農民)なスタイルも、木綿生地を使用していて、ザ・日本らしいデザインです。
1971SS
こちらも「KENZOといえば!」といった鮮やかな配色の作品たち。
1985-1986AW
コムデギャルソンとヨウジヤマモトによる「黒の衝撃」の影響で、黒を基調としたスタイルが増えていた80年代に、こういった原色同士の組み合わせを打ち出し続けていたのですね。
流行に左右されず、自身のモードを貫く髙田さんの信念のようなものを感じました。
1976SS
さらにKENZOらしさ全開!といえば、「フォークロア」デザインですよね。
1975-1976AW
各国の民族衣装からインスピレーションを受け、70年代から「フォークロア」というテーマを取り入れていた髙田さん。
1984-1985AW
この頃から日本のみならず世界の文化も視野に入れて作品を生み出し、しかもそれが世界で認められていたと思うと、やはりファッション界において革新的な人だな…と改めて思いました。
(左)1983-1984AW (右)1983SS
もちろん日本らしい着物ルックも髙田賢三の真髄ですよね。
今でこそ和服を洋服に取り入れるデザインは多くありますが、その和洋折衷なデザインを定着させたのは、やはり髙田さんだと思います。
1978-1979AW
こちらの「ミリタリー・ルック」は、華やかなセレモニー用の軍服から着想を得て作られたそうです。
戦闘用のいわゆる“軍服”っぽい服ではなく、華やかな軍服に視点を向けるのが髙田さんらしいですよね。
1979-1980AW
こちらは、毛皮やフェイクファーをパッチワークした作品。
こういったデザインも発表していたとは…。
1982-1983AW
そして、中央辺りには、あのリボンのウエディングドレスが…!
ロマンティックで美しいです
髙田さんがパリに着いた頃から約20年かけて集めたリボンが、全長200メートルも使用されているそうです。
色とりどりの花の刺繍がとても可愛らしいです。
繊細なのに存在感があり、温かみがあるのに研ぎ澄まされていて、しかもフォークロアっぽい雰囲気もある…。これこそ唯一無二な作品だといえます。
山口小夜子さんがショーで着用していましたよね。
髙田賢三の言わずと知れた名作の一つだと思います。
1978-1979AW
こちらはヨーロッパの司祭服からイメージした「僧侶ルック」。
僧侶ルックまで作っていたとは…。髙田さんのデザインのバリエーションの多さに驚きます。
1993-1994AW
このセクションの最後の方で印象的だったのは、画家のクロード・モネの「睡蓮」をインスピレーション源とした作品です。
直接アクリル絵の具で描いたという、柔らかくも活き活きとした模様は、これまでの鮮やかなKENZOとはまた異なる魅力がありました。
パリの邸宅/Takada Kenzo Houseの魅力
最後は、パリにあった髙田さんの邸宅に関する貴重なものを展示しているセクションです。
中央のテーブルには、パリの自邸で使っていた髙田さんの遺愛品が並べられていました。
髙田さんが旅で収集した世界各地の布地。
髙田さんが実際に使用されていた画材類。
これらの筆やパレットなどは、髙田さんが亡くなる前に使用していた、そのままの状態で展示しているとのこと。
絵の具の固まりや汚れがとてもリアルでした。
髙田さんが描いた2005年~2019年のスケッチ類。
かなり使い込んでいるトランプまで。
隣の部屋は、髙田賢三邸の模型や設計図、写真などが展示されていました。
ここにも世界各地で集めた布地コレクションが。
髙田さんは布地からインスピレーションが湧くこともあったそうなので、他にも多くの布地を持っているかもしれません。
この模型は、建築家の隈研吾さんが作ったものです。
髙田賢三邸自体は、髙田さん自身が設計したこだわりによるものです。
それにしても家の中で迷ってしまうくらいの広さですね…。
現在は、2018年に髙田さんが自邸を手放した後、別オーナーの元に渡り、隈研吾さんがリノベーションを手掛けたため、内装などは異なっているそうです。
最後に
今回、髙田さん没後初となる回顧展とのことで、“髙田賢三”のことを網羅的に知ることができる、非常に充実した内容だったと感じました。
デザイナー髙田賢三はもちろんですが、髙田さんという一人の人間の人生も観ることができた気がします。
また、この姫路市立美術館では、最初の「タイムライン」セクションは無料で公開しているそうです。
髙田賢三さんが姫路出身ということと、もっと髙田さんを広めたいという思いから無料で公開することにしたそうです。
東京では有料で展示していたものも無料で公開しているそうなので、東京の髙田賢三展に行けなかった方は、ぜひ姫路の髙田賢三展に足を運んでみてください。
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ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
日本を、また世界を代表するブランド「KENZO」。そしてその創業者でありデザイナーであった髙田賢三さん。
パリコレクションの常識を覆す斬新なデザインで注目を集めた髙田さんは、現在もファッションの歴史に名を刻む存在として生き続けています。
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