
引用wwdjapan.com
こんにちは。ブランド古着のKLDです。
ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻の後を引き継ぎ、ジル サンダーの新たなクリエイティブ・ディレクターに就任したシモーネ・ベロッティ。
数々の有名ブランドでキャリアを積み、長年グッチのデザインチームを支えてきた、確かな手腕を持つデザイナーです。
今回は、
- シモーネ・ベロッティとは
- 経歴
- シモーネ・ベロッティを形作るもの
という形でお話していきます。
シモーネ・ベロッティのファッションの原点から、プライベートな人物像まで彼の素顔を紹介します。
目次
シモーネ・ベロッティとは?
シモーネ・ベロッティは、イタリア出身のファッションデザイナーで、豊富な経験を持つ実力派として知られています。
彼のキャリアは幅広く、「AF ヴァンデルヴォルスト」「ジャンフランコ・フェレ」「ドルチェ&ガッバーナ」「ボッテガ・ヴェネタ」「グッチ」などの多くの有名ブランドで経験を積んできました。
グッチには16年間勤務し、アレッサンドロ・ミケーレの右腕として活躍。
2023年から2025年まではバリーのクリエイティブ・ディレクターを務め、独創的な視点と芸術的な感性を発揮してきました。
ベロッティのデザインに関しては、ブランドの伝統を尊重しつつ、現代的な解釈を加えることを得意としています。
2025年3月10日、「ジル・サンダー」の新クリエイティブ・ディレクターに任命されたことで、世界中から更に注目が集まっている人物といえます。
経歴
グッチやバリーなどの一流ブランドで経験を積み、新たにジル・サンダーを率いることが発表されたベテランデザイナー、シモーネ・ベロッティ。
ここからは、彼の経歴についてお話します。
ファッションへのこだわりを見せた幼少期
シモーネ・ベロッティは、1978年にイタリア・ジュッサーノで生まれました。
ジュッサーノは、ミラノから約32km北に位置する家具の生産で有名な街です。
父親は家具職人、母親はその仕事を支える家庭環境で育ちました。
ファッションへの興味は早くから芽生えていたようで、彼は「子どもの頃から身につけるものの好き嫌いがはっきりしていました」と回想しています。
特に、月のクレーターがプリントされたTシャツがお気に入りで、脱ぎたくなかったという思い出もあるそう。
そんなベロッティが初めて本当のファッションに触れたのは、思春期のこと。
エレクトロニックやシカゴハウスに夢中になり、クラブに足を運んだ際、ヴィヴィアン・ウエストウッドやジャンポール・ゴルチエを着た若者たちを見て、心を揺さぶられたそうです。
アントワープ派の美学に惹かれた学生時代
イスティテュート・セコリの校内 引用secoli.com
18歳でミラノの服飾学校「イスティテュート・セコリ」に入学し、ファッションデザインとパターンメイキングを学びました。
大手メゾンでの就職を目指す同級生とは違って、彼は独立系デザイナーに魅力を感じ、特にアントワープ派の美学に惹かれました。
アントワープ派とは、ベルギーのアントワープ王立芸術アカデミー出身のファッションデザイナーたちを意味する言葉です。主に1990年代初頭からパリコレクションで活躍したデザイナーを指します。
ベロッティは、特にマルタン・マルジェラや、ヴェロニク・ブランキーノといった個性の強いデザイナーの作品に影響を受けたようです。
これらのデザイナーは、従来のファッションの枠組みを超えた革新性や実験的なアプローチを特徴としており、ベロッティはその独創的なデザイン哲学に共感したと考えられます。
初期のキャリア
服飾学校を卒業後の2001年、ベロッティはベルギーのファッションブランド「AF ヴァンデルヴォルスト」でレディースウェアのデザインアシスタントを務めます。
その後、イタリアのラグジュアリーブランド「ジャンフランコ・フェレ」に入社し、メンズウェアデザイナーとして3年間在籍しました。
2005年に「ボッテガ・ヴェネタ」に入社し、2006年には「ドルチェ&ガッバーナ」に移籍。両ブランドともシニアメンズウェアデザイナーとして在籍し、独自の美学と技術を磨きました。
一流ブランドでの個性豊かなデザイナーたちとの経験は、ベロッティのデザインスキルの基礎を形成し、その後のキャリアにおいて成功につながる重要な一歩であったと考えられます。
グッチでの功績
そして2007年、シモーネ・ベロッティの重要なキャリアを築き上げた「グッチ」へ移籍。
グッチでは16年間にわたりシニアデザイナーとして、ウェアとアクセサリーの両分野で活躍しました。
アレッサンドロ・ミケーレ 引用wwdjapan.com
また、当時クリエイティブディレクターを務めていたアレッサンドロ・ミケーレの右腕としてデザインチームの要職を担い、ブランドの成功に貢献したことでも知られています。
ミケーレが大胆かつ斬新なアプローチでグッチを変革したのに対し、ベロッティはブランドの既存のアイデンティティに革新性と洗練を加える手法を取っている印象です。
ベロッティにとって、グッチでの16年間は、ラグジュアリーブランドにおけるデザインの専門知識と技術を深く習得する機会となりました。
バリーでの活躍
グッチ退社後の2022年10月、シモーネ・ベロッティはバリーのデザインチームに加わります。
当初は、ルイージ・ビラセノール氏の下でデザイン・ディレクターとして働いていましたが、2023年6月、ビラセノールの退任に伴い、ベロッティはバリーのクリエイティブ・ディレクターに昇進。
引用gq.com
これまで主に“裏方”として活躍してきたベロッティが、初めてブランドの表舞台に立つことが決定したのです。
彼はバリーの長い歴史とクラフトマンシップを重視し、それを現代的に再解釈することに注力しました。
ベロッティによるバリーでのファーストコレクション2024SSでは、実用的なラグジュアリーとクラフトマンシップに満ちた伝統のコントラストを表現。
バリーの172年にわたる上質な靴作りの伝統に根ざしたアーカイブモデルが、新たなスタイルの柱として再登場しました。
続く2024AWコレクションでは、スイス民話から着想を得たモチーフやスイスの民族衣装を現代的なウェアと融合。アルプス山の物語が持つパワフルな神秘主義を引き出しました。
2025SSコレクションでは、ダダイズム運動(第一次世界大戦中にスイスで始まった反芸術運動)にインスピレーションを得た、伝統的な形式に抗うアヴァンギャルドなアプローチを展開。
このように、ブランドの伝統を尊重しながらも、新たな方向性を取り入れることが彼の挑戦であったと考えられます。
ベロッティは、バリーのクリエイティブ・ディレクターとして、2023年から2025年までブランドを率いました。
ジル・サンダーのクリエイティブディレクターに抜擢
2025年3月10日、シモーネ・ベロッティは、「ジル・サンダー」の新クリエイティブ・ディレクターに任命されました。
ルーシー&ルーク・メイヤー夫婦 引用fashionsnap.com
2025AWコレクションの発表直後に退任を表明した、ルーシー&ルーク・メイヤーの後任となります。
ジル・サンダーを傘下に持つ、OTBグループのレンツォ・ロッソ会長は、「彼は豊富な経験と際立った才能の持ち主。我々はブランドの戦略的ビジョンと使命を共有している。彼はジル・サンダーを革新と洗練によって、さらにアイコニックで世界に唯一のブランドに成長させてくれるに違いない」とコメント。
この任命は、ベロッティの才能と業界での評価の高さを示しているといえるでしょう。
ベロッティ自身も、「ユニークなアプローチと強いアイデンティティーで新たな美学を創造し、デザイン界に常に大きな影響を与えてきた歴史あるメゾンに加わることができ大変光栄に思う。ブランドの可能性を最大限に引き出すことに貢献するチャンスに興奮している」と意欲を語っています。
ベロッティは、過去にグッチでアーカイブを革新的に解釈する手法を磨いたことから、ジル・サンダーにおいてもブランドの歴史的なデザインを新しい視点で再構築すると予想されます。
シモーネ・ベロッティを形作るもの
経験豊富で、エレガントかつ洗練された世界観を生み出すシモーネ・ベロッティ。
ここからは、彼を形作るものについてお話します。
人生の儚さを知った幼少期
幼ベき頃のシモーネ・ベロッティ 引用nytimes.com
イタリアのジュッサーノで生まれたシモーネ・ベロッティ。
彼は幼少期の思い出として、「工房の機械音や羊毛の香りを今も忘れられません」と語っています。
のんびりとした子ども時代を過ごしていたベロッティでしたが、13歳の頃に家具職人であった父親が49歳で急逝。
父親の早すぎる死は、ベロッティに人生の儚さを教え、自身の夢を追求する強い動機付けとなったのでしょう。
父親の死後は、あまり楽ではない生活を送っていたそうですが、この体験が、彼のファッション界での成功と独自のスタイルの確立につながったと考えられます。
スイスの伝統への敬意
シモーネ・ベロッティは、スイスをルーツとするバリーでの仕事を通じて、スイスの伝統や文化に深い理解を示しました。
精密な時計や銀行といったスイスのイメージだけでなく、大自然や革新的なアートなど、“スイスをさまざまな視点から捉える”ことを追求しました。
例えば、バリーで初めて指揮を執った2024SSコレクションでは、スイスの自然美や伝統的な素材・色彩を取り入れています。
バリー2024SS引用instagram@simonebellotti
キーカラーとして、スイスとバリーを象徴する赤を使用し、アイテムには、カウベルのチャームつきバッグや靴、小花を挿せるネックレスやベルトなど、スイスらしいモチーフが見られました。
モダンで実用的なデザインを提案しつつ、バリー誕生の地であるスイスの起源を強調し、スイスの伝統への敬意を示しているのです。
ミニマリズムの美学を重視
ベロッティは、装飾を抑えたミニマルなアプローチを得意としています。
過度な主張は控え、構造や形状の美しさで勝負しているのです。
バリー2025SS 引用fashionsnap.com
服のシルエットを際立たせるために、精密で計算されたカッティングを駆使しているのも特徴。
これにより、身体に自然に馴染むラインを作り出しながらも、視覚的なインパクトを与えるデザインを実現しています。
素材選びにもこだわりがあるベロッティは、高品質な生地を用い、カッティングやボリューム感をさらに引き立てる工夫をしています。
バリー2025SS 引用fashionsnap.com
ブラックやネイビー、ホワイトを主軸に、レッドやブルーなど鮮やかな色を差し込むカラーパレットも印象的。
「プリント生地を使用しない」というわけではありませんが、その数はかなり少数です。
バリーでのラストシーズンとなった2025AWコレクションも、同様のアプローチでクリーンな服を発表しています。
ベロッティが手掛けたバリーのコレクションを見ると、新たに指揮を執るジル・サンダーにおいても、創業当時の美学であるミニマリズムに回帰するのではないかと予想できます。
控えめで謙虚な性格
シモーネ・ベロッティの人となりについては、控えめで謙虚な性格が伺えます。
彼は自分の日課を「仕事に行って、音楽を聴くだけ」「とてもシンプル」だと表現しています。
毎日の出勤には自転車を使っており、週末はヴィンテージの『サーブ900ターボエアロ』という車を運転しているとのこと。
自身のファッションは、シンプルなTシャツやセーターにチノパンやジーンズを合わせたベーシックなスタイルを愛しています。
休日については、水辺でのリラックスした時間を楽しむことを好んでいる様子。
ベロッティが何度も訪れているサルデーニャ島 引用nytimes.com
風や水しぶきの音、水紋など、自然に触れることで心に喜びをもたらしているようです。
日本と古着への高い関心
シモーネ・ベロッティは、実は30回以上も来日している日本通。
日本のモノづくりに注目し、細部へこだわる職人技をリスペクトしています。
また、古着屋巡りも大好きで、原宿や高円寺でビンテージショッピングを楽しんでいるそうです。
確かに彼のデザインは、古着好きにも刺さるようなノスタルジックな世界観も感じられます。
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ここまで読んでくださった方へ
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
グッチでの16年間の経験やバリーでの指揮力が、業界内で高い評価を得ているシモーネ・ベロッティ。
ブランドのアイデンティティを深く理解しつつ、それを巧みに昇華させることに長けている彼は、ジル・サンダーでも独自の美学を上手く反映させたクリエイションを魅せてくれるでしょう。
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